星空の下で【超短編】
私は一途に思い合えない関係なら、恋人として成り立たせたくない。それこそ彦星と織姫のようないつまでもお互いに盲目な状態じゃないと、自分は許せない。
曖昧だったからこそ、続けた。
「じゃあ、ね」
呆然とする男を放置して、家に入った。
そのあと、何回かインターホンが鳴ったが出なかった。緩い女じゃないからだ。それを分からせたかった。
翌日。ポストに投函されてたのは雑に書かれた宣言だった。
【覚えていろよ、絶対付き合ってみせるから】
こののち、あの男が執着してあの手この手と包囲網を張り巡らして、彼女は逃げることになる。それは、また別の話である。
*
織姫は言う。「ミルキーウェイの橋をかけて迎えに来るんじゃなくて、命懸けで泳いできてよ」と。
end