「約束」涙の君を【完】
次の日、
私は明らかにそわそわしていた。
縁側から外に出て、庭をウロウロ。
山に続く小道に出ては、
また戻ってきて。
「どうした?優衣。
何してんだ?」
少し離れた畑に行くおばあちゃんに庭で声をかけられた。
「うん...昨日さ、地元の子に傘を貸してあげたからさ。
返しにくるかな...なんて思って」
おばあちゃんは少し驚いていた。
「へえ。誰だろうか」
「名前聞かなかった。
でも確か、おじいちゃんが、最近越してきた子だって言ってた。
おばあちゃん知ってる?」
おばあちゃんは少し考えて、ああ…と思い出したように頷いた。
「そういえば、息子がいたなぁ。
あの、大学の先生の子か。
あの子なら時々、
畑の下の川で遊んでるの見るけどな。
優衣も行ってみるか?」
「うん!」
私が大きく返事をすると、
その様子におばあちゃんは少し目を丸くして、
それからクスッと笑って、ゆっくりと畑の方へと歩き出した。
私はおばあちゃんの後ろに続いた。
「あの子いっつもひとりで遊んでてな。
友達がまだできないんだろうなぁ。
まだ、今年の春ぐらいに越してきたばっかりだし。
それに、
林の木のこともあるしなぁ…」