「約束」涙の君を【完】
私の気持ち……
祥太の気持ち……
「みんなの前で、あんなことしたら、
優衣が困るのわかってたけど、
どうしても俺……
我慢できなかった」
あんなことって、手を繋いだり……ってことだよね。
そんなの私が困るわけないじゃん。
逆に、私と一緒にいることを、みんなに見られたら、
祥太に迷惑がかかると思っていたから、
あんな風に、堂々と態度に表してくれて、
私は……嬉しかったのに。
この気持ちを、小さなボードでどうやって書き表したらいいんだろう……
「優衣がクラスに早く馴染めるように、
俺、ちゃんと見守れるぐらいの余裕持たないとな」
祥太は笑って下を向いてしまった。
早くしゃべれるようになりたい。
こういう時に、いっぱい気持ちを伝えられるのに。
私は今のこの気持ちを伝えたいと思い、立ち上がって、
祥太の隣に座り
横からぎゅっと祥太に抱きついた。
「優衣?」
優しく呼ばれて、顔を上げると、
至近距離で祥太と目が合って、
「どうした?」って首をかしげるから、
その仕草にきゅんとして……
もっとぎゅっと抱きついた。
祥太は、片手で私の頭をポンポンと撫でて、
「俺やっぱ……
明日も我慢できる自信ねーや……」って、
いつまでも抱きついている私の頭を、
ずっと優しく撫でてくれた。