「約束」涙の君を【完】
祥太は私にタオルを渡してきた。
「自分で抑えられるか?」
私はタオルを受け取り、口元に当てると、
祥太は私を抱きかかえた。
「お前、何やってんだよ!!
傷つけんなって言っただろ!!」
祥太は、びっくりするぐらいの怒鳴り声だった。
「結城くん……
結城くんは同情しているだけなんだよ!
水沢さんがかわいそうなだけでしょ?
それは、水沢さんに失礼だと思うけど」
陽菜は、さっきよりも高い声で言った。
「同情?
俺は、優衣の気持ちがわかるだけだ!
俺も同じ思いをしたから……
お前にはわかんないだろうな!
人の気持ちがわかんないお前の方が、よっぽどかわいそうだ!
俺はお前みたいな奴が一番嫌いなんだよ!
俺は一生優衣を守る!
二度と近づくな!」
祥太は大きな声で怒鳴り、
私を抱きかかえたまま、
女子たちの間を通り、
校舎内に入った。
そして、誰もいない教室に入って、私を横にし、
膝の上に私の頭を乗せてくれた。