「約束」涙の君を【完】



家の前に着き、自転車が止まると、


私はゆっくりと降りた。



祥太は自転車に乗ったまま、


私の顔を覗き込んできた。


「また明日の朝……な」




そう言って、私の頬を触った。



「ごめん、薬……あんなやり方で。


じゃあな」



祥太は、ハンドルを持って自転車をこぎ出した。


祥太、今日謝ってばかりじゃん……




謝ることなんて、何もしてないのに……



唇に残る祥太の感触……



私、嬉しかったのに。


祥太はいつも謝るけど、


私はいつも嬉しかったのに……



だって、好きなんだから……




私、祥太が好きなんだから……‼






「………っ……たっ……!」



ちょっと声が……出たかも……










「……たっ………う……た!!」








「………しょう……た!!」







祥太の自転車が止まって、

バッと祥太が振り向いた。






「………しょ……





……祥太!!」



祥太は固まっていた。







「……すき……





………祥太が……好き!!





…………好き!!好き!!



私……祥太が好き!!!」













< 146 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop