「約束」涙の君を【完】
祥太が見えなくなるまで見送って、
庭に入ると、
居間でテレビを見ているおじいちゃんとおばあちゃんが見えた。
軒下に入り、
縁側に上がる前に立ち止まった。
「あぁ、優衣おかえりー。
あははははっ!」
おばあちゃんは、テレビを見て爆笑していた。
おじいちゃんはテレビを見ているのかと思ったら、
マッサージチェアに座ったまま、
眠っていた。
私は一度、大きく深呼吸した。
そして、
「……たっ! ただいまー!!!」
と、大きな声で叫んだ。
ガタン!!
と、ちゃぶ台の湯呑みが倒れ、
ガタン!!
と、おじいちゃんがマッサージチェアから立ち上がった。
「優衣!」
「優衣!」
私は縁側に上がった。
「おじいちゃん!
お……おばあちゃん!
私を……救ってくれて、
ありがとー!!!
ずっとこれが……言いたかった!!」
おばあちゃんが、ヨロヨロと立ち上がって、
私のところに来た。
「出たか……よかった……
高校行って、もっとひどくなったら、
どうすっかって、心配してたんだ。
よかった……ほんとに、よかった」
おばあちゃんは、私の背中をさすってくれた。
おじいちゃんはまた、マッサージチェアに座って、
「救ってもらったのは、こっちの方だ」って、
優しく微笑んだ。
「赤飯だな!赤飯炊くから手伝え!」
「うん!
あぁ、おばあちゃん、お茶が……」
私は、バッグを置いて、ちゃぶ台にあった台ふきんでこぼれたお茶を拭いた。
「びっくりしたんだぁ。
なぁ、じいちゃん!」
おばあちゃんは、お盆に倒れた湯呑みを置いた。
「腰いてぇ……」
おじいちゃんはまた、マッサージチェアのスイッチを入れて、
ブルブルとし始めた。
それから一緒に夕ご飯を作って、
3人でいっぱい話しながらご飯を食べた。
最初は、言葉が出にくくて、詰まってしまうことが多かったけど、
だんだんと、スムーズに話せるようになったら、
ずっとずっと溜まっていた言葉たちが、
溢れ出るかのように、口から出てきた。
いっぱい感謝して、
いっぱい笑った。
そうだ、あと一つ……
祥太と付き合う事になったって……
あれ、付き合うって言ったっけ?
好きってことは、付き合うってことで、
いいんだっけ……?
あれ……?
明日、祥太に聞いてみよう……