「約束」涙の君を【完】
生い立ち
「インフルエンザ?」
放課後、あおいは驚いたように言った。
あれから祥太は学校を休んでいて、
メールしてもいいか悩みすぎで、
結局、欠席して3日目でメールをしたら、
インフルエンザにかかったと返信がきた。
転校すると聞いてから、
なにもする気になれなくて、
なにも考えられなくて、
どうしたらいいのかわからなくて。
「優衣、お見舞い行ってみたら?」
あおいも杏も賢人くんも、
祥太の転校のことをもう知っていて、
私にすごく気を遣ってくれているのがわかる。
「会いに行っていいのかな……」
「いいに決まってるだろ?
優衣ちゃんは、祥太が好きなんだろ?」
いつもヘラヘラと笑っている賢人くんが、
真剣な顔で言ったから少し驚いた。
「優衣ちゃん。今だけだよ」
「今だけ……?」
「離れるのは今だけだろ。
一生は長いんだ」
一生……
「たった、今だけ離れるのに、
祥太を一生、手放すのか?
今だけ我慢すれば、祥太は必ず優衣ちゃんの元に帰ってくる。
そうだろ?」