「約束」涙の君を【完】
祥太の部屋の前に着くと、
またトントンとノックしてから、
ドアを開けた。
電気のついてない部屋は、もう薄暗くて、
ベッドの上から覗くと、
祥太はまだ眠っていた。
私は、ベッド脇のラグの上に座って、
眠っている祥太を見つめた。
「聞いたよ……祥太のこと。
知らなかったことがいっぱいで……
でも、
もっと好きになった。
私は、祥太が好きだよ……」
ベッドに乗せた腕に、
頬を寄せて、寝顔の祥太に言うと、
祥太がゆっくりと瞼を開けた。
「優衣………」
祥太は布団から手を伸ばして、
私の頬を触った。
温かい手……
私はその上に自分の手を重ねた。
「私……強くなるから……」
祥太はゆっくりと瞬きした。
「私は絶対に、
死のうとはしないから。
ひとりになっても、
ちゃんと生きていくから……
だから、
だから……
別れるなんて、考えないで……」