「約束」涙の君を【完】
祥太は頬から手を離すと、
ゆっくりと起き上がって、
ベッドに腰掛けた。
私も隣に腰掛け、横から祥太に抱きつくと、
祥太もぎゅっと抱きしめてきてくれた。
「わかった……
ありがとう……優衣」
私は背中に回した腕の力を強くした。
「祥太のこと、ずっと好きでいるから」
「うん」
「浮気しちゃダメだよ」
「ははっ……しないよ」
「告白はちゃんと断ってよ」
「大丈夫だよ」
「私……信じているから」
祥太は私の髪を撫でた。
「いつ……東京に行くの?」
「終業式の次の日」
「そっか……」
春休みは、いないんだ……
「祥太?」
「ん?」
「お願いがあるんだけど……」
祥太は私の肩をそっと押して、
顔を覗き込んできた。
「なに?」
「東京に行く日まで、いっぱい一緒にいてほしい。
一緒にいるのに、離れているのは辛い……
私、ちゃんと見送るから。
ちゃんと笑って見送るから。
もう、泣かないから……
その日まで、一緒にいたい」