「約束」涙の君を【完】
祥太はそう言って、笑った。
【祥太は祥太じゃん!】
あの夏の日の言葉……
覚えていてくれたの……
聞きたいのに、聞くことができない。
ありがとうって言いたいのに……
「はあ…はあ………」
やっぱり声は出なかった。
涙が出てしまいそうになった時、
頭に温かい感触が……
祥太が私の頭に手を伸ばし、
ポンポンと撫でていた。
そして顔を覗き込んできた。
「頑張りすぎんなって言ったじゃん、俺。
優衣………
頑張ったな……
よく、頑張ったな……」
祥太の優しい手、
優しい言葉に、
涙が溢れ出した。
私は顔を両手で覆って、
思いっきり泣いた。