「約束」涙の君を【完】
もう一度
次の日、
夕方になっても止まない雨を、
縁側から眺めていたら、
庭先に傘をさした制服姿の祥太が現れた。
また、今日も来てくれたことに嬉しくなって、
思わず笑顔になってしまった。
そんな私を見て、
祥太はふっと笑って、下を向いた。
軒下に入ると、祥太は傘を閉じた。
見ると、バッグもズボンも雨でビショビショに濡れていた。
私は急いで洗面所に行き、タオルを持ってきた。
近くで見ると、腕も濡れていて、
そっとタオルでふくと、祥太は笑って、
「ありがとな」ってタオルを私から受け取った。
髪の毛先が少し濡れていて、
昨日は外はねしていたのに、
今日は、さらさらと真っ直ぐにおりていた。
祥太が縁側に座ったから、私もその隣に座った。
祥太は少し屈んでズボンを拭いていた。
屈んでいるせいか、
前髪が目にかかっていて、
高い鼻、
綺麗な肌……
「ん?」と、いきなり顔を上げて、大きな瞳で横から見上げられたから、
ドキッとした。
私は、思いっきり首を振った。
「なんだよ。変な奴」
祥太はふっと笑って、また、
反対側のズボンを拭いていた。
隣から見ているだけで、
祥太の仕草一つ一つに、
胸がきゅん……ってなる……
祥太は最後にバッグを拭くと、
私にタオルを返してきた。
そして、バッグの中をごそごそとして、
中からノートサイズの白いボードを取り出した。
「これ、使いな」