「約束」涙の君を【完】
あっと言う間に家に着き、私が自転車から降りると、
祥太は、自転車を庭先に停めた。
私は先に縁側から家に入り、居間のちゃぶ台からボードを取って来た。
縁側に腰掛けている祥太の隣に座ると、
祥太は少し俯いていた。
どうしたんだろう……
来るのが遅かったし、
学校で何かあったのかな……
何かあった?とボードに書こうとした時、
「あのさ……」と祥太がこっちを向いた。
「明日、体調が良かったら、
川まで行ってみるか?」
明日……土曜日……
川って、
あの日、祥太が魚を獲っていた川……
私は深く頷いた。
「じゃあ、午前中迎えに来るから。
ちゃんと、座って待ってろよ」
祥太は笑って、私の前髪をくしゃくしゃっとした。
その後は、
いつもと同じ祥太だったから、
ちょっとホッとした。
明日また会える。
川に行くなんて、こっちに住むようになってから、
一番遠くに行くことになる。
でも、祥太と一緒なら大丈夫。
絶対に大丈夫って、
不思議と不安な気持ちは、
全くなかった。