「約束」涙の君を【完】
担任の田川先生は、
熱血教師という感じの、
若い男の先生だ。
「校長から話があったんだけど、
えっと……」
先生は、まるで本のような分厚い手帳を開いた。
「そうだそうだ、
【水沢優衣】さんだ。
知っているだろ?」
水沢……?
あ……優衣のことか。
離婚して水沢になったのか。
「はい。知っています」
「そうか。
7月の転入試験を受けて、2学期からうちの学校に転入してくるかもしれないって話も知っているか?」
え……
俺の高校に?
2学期から……?
「知りませんでした」
先生はうんうんと頷いた。
「まだはっきりと決まった訳ではないらしくて、
校長と彼女のおじいさんが知り合いらしくて、
どうにか、助けてあげたいみたいなんだ。
結城と知り合いだから、
いろいろな事情をふまえて、
同じクラスの方がいいんじゃないかって話だ。
つまり、俺が受け持つってことだ」