「約束」涙の君を【完】
胸の中
土曜日の朝、
朝ご飯の片付け、洗濯物を手伝い、
洗面所の鏡の前でふと立ち止まった。
髪、伸びたな……
胸下まである長い髪に指を通した。
そして、自分の部屋に入り、川へ行く準備をした。
ポーチに、磁気ボードと、
そうだ、発作が出た時の薬は、
どうしようかな……
本当は、不安な時は、予防的に前もって薬を飲んだ方がいいと医者に言われたけど、
なるべく薬に頼りたくないから、
発作が出た時にだけ飲むようにしている。
でも、最近はほとんど飲まずにすごせているから、
持っていかなくても大丈夫かな……
私は、薬を引き出しの中にしまった。
ポーチを斜め掛けして、部屋から出ると、
おばあちゃんが居間にいた。
「どっか出かけるのか?」
私はポーチからボードを出した。
【祥太と川に行ってくる】
「川?大丈夫か?」
私は頷いた。
その時、自転車を停める音がして、
庭先に目をやると、
祥太が見えた。