キミの秘密
「し、失礼します…っ」
二つ並んだクローゼットのうち、手前のクローゼットに手を伸ばす。
ガチャ、と音を立ててクローゼットが開いた。
「え…?あ、れ?」
ずらりと並んだ服。
それは女物…ではなく
「こ、これって全部…男物?」
ドアの近くで何かがドサっと何かが落ちる音がした。
急いで振り向くと、目を見開いた祠堂さんが立っていた。
「あの、ごめんなさー…」
「…見たの?」
「えっと、あの、その…」
「…見たんだ」
そう言うと祠堂さんは、下を向いてため息をついた。
「…だから相部屋は嫌だっつったんだよ」
…ん?
何か聞こえた?
て言うか、男のような低い声がしたんだけど聞き間違いかな?
「し、祠堂さん?
勝手に開けちゃってごめんなさい。
ハンガーを借りようと思って…」
「ふざけんな非常識女」
「えっと、祠堂さん…?」
顔を上げた祠堂さんは、さっきまでとは違う顔だった。
ふんわりした雰囲気が、な、なんだか殺気だっている…?