君に恋した
1.おいで
 


 相変わらずの青い空には細く伸びた雲が流れていて、時折太陽を隠そうものなら「この寒いのに」と文句のひとつでも投げてやろうかというところ。

 昼休みの校庭は高校生なりに落ち着く様子は全くなく、寧ろ全力を投じて球技や大人ルール全開の激しい鬼ごっこを繰り広げていたりする。

 そんな中自分はといえば、人を待つには約束も何もしていないしいつ来るとも知れない相手を待つことも楽しいけれど今日のところは、食後の一服ならぬ一睡を満喫しようかと、コンクリートの上にごろりと身体を伸ばし暫くの間、空を見ていたのだった。

 緩やかなものを見ていたせいか、さっきより少し瞼が重たくなった。

 うとうとし始め、意識を半分手放した頃、遠くでコンクリートとゴム底の上履きがだす軽い音がした、気がした。


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