君に恋した
 


 彼にしては珍しく焦りが最高潮でその姿をみているそれだけでも、十分だった。


「あと五秒ー」

「ちょ、待って、タンマ!」

「何よ、さっきは色んなモノに叫んでたじゃない。せっかく借りた私の名前は、叫びにくい?」

「そういうんじゃなくて、ああもう。なんで俺が照れなきゃダメなわけ?」


 完全に一人の世界で言ってますよ。


 あたふたした様子があまりにも珍しくて、イジワルになっている自分がいて。

 これって、幼馴染みの特権ですよね。

 嬉しさとか、楽しさとかで一杯になる。


 ああ、もう。


 
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