君に恋した
 


 チャイムがなり終えるのを待たずに、手早く担任との面談を終わらせようと職員室に走る。

 担任はおっとりとしているが芯を持っているので子どもの頃から描いていた夢を叶えると言えば大丈夫だろう。
 十分程度で面談を終わらせ、教室に置き忘れた弁当のことを思い出して、面倒だったけれど一度戻った。

 校庭の時計に目をやるとまだ十二時二十分を過ぎた所だったので、急かす気持ちを諦めの溜め息に変えて、呼吸を調えるようにそれでも軽く走る。


 互いが昼休みはゆったりくつろぎたいという欲のために合鍵まで作った、秘密の部屋――屋上のドアの前で、もう一度深呼吸をする。

 髪の乱れは、服のシワはどうか。

 気にしつつも鏡なんてものは持ち合わせていないので、確認のしようがなく、ドアノブを軽く回し押した。


 
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