君に恋した
でもね?
「バカって言う方がバカなんですー」
「先に言ったのは佑久じゃん」
「あ。そっか、ごめんゴメン」
「気のない謝罪は結構です」
そうやってふいと頬を膨らませてそっぽ向く彼女が愛おしくて。
掴んでいた腕を引いてぎゅって抱きしめた。
頬がしぼんで、目をぱちくり。
ああ、可愛い。
「俺も言っていいかな」
「な、何よ」
耳元でささやいたら、くすぐったいのか感じちゃったのか、彼女の身体がビクッと反応する。
ああ、可愛いかわいい。誰にも見せたくないなぁ。
「佐和子だって、最近可愛くなって、周りの男子に狙われてるんですよ?それに、なんかお前の周りだって男子ばっかじゃん俺も嫉妬していいですか」
「し、しっと!? 何言ってるの、バカじゃない!?」
「そーですよ? 俺は佐和子のことになったらすごくバカになるんです」
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(俺ね。ずーと、佐和子のことしか見てないんですよ?)