君に恋した
告った女子から、ごめんね、と全体に震えを帯びた涙声が聞こえた。笑おうと必死になるがそれが余計に苦しい。
そこは謝罪じゃなくて感謝じゃないのか、とアタシは思うけれど、もし自分があの立ち場なら彼女と同じ事を言うだろう。
これは偏見かもしれないけど、その男子はあんたには向いてないんじゃないかな。まぁ、そんなのは人の勝手だけど。
あんたは見る目はあると思うよ、今回はたまたま奴の性格に難があっただけだ。だから次は大丈夫、うまくいく。…事を祈ってる。今この時だけだけれど。
はい、彼女への社交辞令終了。
彼女が校舎へ戻って行くのを見終え、ため息をつき頭を掻く彼も視界から消えた。
その後も少し警戒するが、もう人は来ないだろう……よし、出よう。教室にカバンをとりにいかなくては。
立ち上がろうとした瞬間、頭に真っ直ぐ何かが下ろされ、痛みがじんわりと走る。
「いっ、」
といっても人の手の感覚で、ワザ名にして‘チョップ’だ。
こんなことをアタシにするやつなんて、一人しか浮かばない。
振り返って、睨みつける。