君に恋した
「瑛」
「陰に隠れて観てるなんて、タチ悪いな、千夏」
後ろにいたのは、さっきまで正面で告白されてたヤツだ。
こっちは見たくてみてた訳じゃないってのに。
面倒臭いというのが口からではなく態度や雰囲気でからも伝わってくる。
全く、あの子はこんな奴のどこに惚れたんだか。
「わざとじゃない。寝て起きたらそこで一世一代の決戦が」
あー、はいはい。軽く聞き流すその様子に、腹が経つ。
お前の身に起こってただろう。
「……何さ。あんたなんか一生独り身でいればいいんだ」
「はぁ? どうしてそんな話になるんだよ」
「もっと言い方とかあるでしょってこと」
「なんだよ、さっきのだってあっちが勝手に思ってただけだろ? 今日だって店の準備とかあったのにさ」
“とか”ってなんだよ。イライラする。どうしてかは解らない。