君に恋した
子どもに言い聞かせるようにいうその顔は、初めてみた。最後はなんか照れも混じっていたかも。
……アタシ、子ども扱い? なんかヤダ。
十分も待たされて、針谷に捕まっただのなんだの言い訳を並べる彼は、ちゃんとアタシのカバンを持ってきてくれた。
根は優しいんだよね。
こうやってたまに、思い出したように優しくなるから、アタシとしては接しにくいケド。
「中、みてないでしょうね」
「あ、弱みになるもの探すの忘れた」
訂正、やっぱり底意地悪い。
ヒドイなオイ、なんて女らしくないツッコミはいつもの如くスルーされる。
やっぱり、こいつってワケわかんない。
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(それにしても、このカバン…何は入ってんだ?やけに重い…)
(…やっぱり中見たの…か?)