君に恋した
 

 少し悩んだ様子の彼女が顔を上げる。
 潤んだ瞳が真っ直ぐに俺の目を捕らえる。


「いいよ、柳くんだもん。私は、私の身体は、心だって、柳くんにしかあげない」


 だから、今も一緒にいるの。

 彼女の目から一筋、涙が零れた。


 ねぇ、それって冗談じゃないよね?
 口角が上がり頬が緩みそうになったものだから、慌てて口元を手で覆う。


 こんなに可愛くて愛おしい彼女は、君しか居ません。


 顔が熱を持ってどうにも気まずくなる。

 一度目を逸らしてから向き直ると、彼女は逸らすことなく真っ直ぐにこちらをみていた。

 
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