君に恋した
 

 そんなこと知ったらさ、引いたりしないかな?


「俺が悪かった。だから、」


 そこで言葉が途切れる。
 時を止めるように彼の、言葉なんて必要にならなくなるくらい強く揺れない眼差しが彼女を捕らえる。
 逸らすことのできないそれは、時だけではなく涙の流れを一時的にでも止める。
 彼女の瞳には、今にもこぼれ落ちそうな程溜まっている。


 ゆっくりと顔を近づけて、彼女との距離をゼロにする。
 少し湿った彼女の唇は、しょっぱくて温かくて柔らかかった。

 軽く触れ合うだけのキス。少しだけ離して、“だから”の続きを言う。



 そういわれちゃあ、仕方ないよね。なんて。彼女は、笑った。






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(これからは、本音を言う時もあると思うけど、引かないでね?)
 
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