君に恋した
 


 雲がさっきよりも少し速く流れている。

 強めの風が髪をさらう。

 頬をさす。


 目が乾燥して、何度も瞬きした。


 お昼に、会わないのは初めてだなぁと少し寂しくなりながら手をついて立ち上がり形だけスカートの砂を払う。

 手に持った空の弁当からはカラカラと箸が箱に当たる、乾いた音がした。 


「待ってたワケじゃないからな、バカヤロウ」


 誰も居ない事は解りきって居たのに思わず小声で文句をいう。

 もっと叫ぶように言ってもよかったのにと、少し悔しく思う。

 ポツリと言った言葉は声に音になって、さっきから吹いてる尖ったような風にさらわれていった。


 
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