叶わなかった
今日も河原に急いだ。羽野君が待ってるから。

でも、今日の羽野君は何か違う。辛そう・・・否悲しそうな顔で私を見た。
「羽野君?どうしたの?」
「ぁ・・・ぅ・・・ううん。なんでもない。今日はどんな話をしようか」
明らかにおかしい。でも、それを聞いてしまったら彼が消えてしまうようで怖かった。
「・・・やっぱり」
羽野君が言葉を発した。
「ん?」
「・・・ごめん、雪村」
突然の謝罪。今まで可笑しかったのはそれを言うため?でも何で?
「え・・・どうしたの?」
良くわからないまま、彼に問いかけてみた。
「・・・雪村、本当の事言っても、友達でいてくれる?」
「う、うん」
「・・・すぅ・・・はぁ・・・雪村・・・俺は・・・俺はね「奈央ー?」!!」
羽野君の言葉を最後まで聞く前に、いきなり私を呼ぶ声が聞こえた。
「奈央!もう・・・こんな時間まで河原にいるなんて」
声の正体はお姉ちゃんの雛乃だった。
「ご、ごめん」
振り返って羽野君が居る方を見たら、羽野君が居なかった。
「?帰るよ」
「あ・・・うん」
よくわからないまま、お姉ちゃんと家に帰った。

次の日も、次の次の日も羽野君は何か言いたげだったが、何も言わない。

「・・・ねぇ羽野君。この間言おうとしてたこと、教えて?」
気になって気になって、ついに聞いてしまった。
「あ・・・そ・・・それは・・・」
「毎日辛そうな顔してるんだもん。教えて、くれない?」
「・・・わかった。話すよ」

この日、私は衝撃の事実を知ることになった。
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