みちしるべ
1章
出会い
私の名前はおばあちゃんみたいな前で小さいときからこの名前が好きじゃなかった。
森野 幸子(もりの さちこ)
親は、幸せな子に育ちますようにって願ってつけた名前らしいけど、だったらもう少し今風な名前がよかったのにと思う。
しかも、こんなに幸せそうな名前とは裏腹に私の人生そこまで幸福でもなかった。
小学校3年のときに親は離婚した。こんな名前をつけておきながら、私を不幸にしたのは両親だ。私は家族が大好きだった。お父さんの帰りが遅くたって、お母さんがちょっと厳しいからって、弟が反抗期だからって、週末のお出かけがあればすぐに私の機嫌はなおった。
でけど、お母さんはまだ小さかった弟と私を連れて実家に帰った。
それから、お父さんの家には泊まりに行けたりするけれど、またあの4人に戻ることはなかった。