恋はストロングスタイル
ラウンド3(代々木健介)
(代々木健介)
日曜日に、南斗さんと山へ修行をしに行く約束をした。
山での修行は、親父以外の人間と共に行うのは、初めてだ。
前日になるまでの四日間、彼女と毎日放課後一緒に帰ることになったのだが、この帰路がすでに修行だった。
南斗さんは、俺がわずかでも油断すると、様々なバリエーションの投げ技や間接技を仕掛けてきた。
どの技も、なぜか恋人のように腕を組む姿勢から繰り出された。
何度か、投げられた。
帰り道にある建物の壁や塀に、ボーリング球くらいの穴がいくつか開いているのだが、あれは全て、俺が頭から突っ込んでいった結果である。
投げられるうちに、俺はなんとなくコツをつかんできた。技を仕掛ける直前に、南斗さんは必ず目を色っぽくうるませたり、顔を赤らめたりするのだ。
ただその表情は、どちらかというと恋する純情な乙女といった感じで、とてもあんな凶悪な攻撃を放つ気配は感じられない。だから油断してしまうのだ。
……あと、そんな南斗さんの恥ずかしげな表情に、つい見とれてしまうからでもあるのだが……。
それと気になるのは、時々技を出す直前に、南斗さんが意味の分からないことを絶叫することだ。
「いっちゃうぞコラーッ!!」
「ウィーーーッ!!」
「アポー」
「イナズマッ!」
「K!K!K!K!」
「ファイヤーッ!」
「気合いだーッ!」
何がなんだかさっぱり分からない。
日曜日に、南斗さんと山へ修行をしに行く約束をした。
山での修行は、親父以外の人間と共に行うのは、初めてだ。
前日になるまでの四日間、彼女と毎日放課後一緒に帰ることになったのだが、この帰路がすでに修行だった。
南斗さんは、俺がわずかでも油断すると、様々なバリエーションの投げ技や間接技を仕掛けてきた。
どの技も、なぜか恋人のように腕を組む姿勢から繰り出された。
何度か、投げられた。
帰り道にある建物の壁や塀に、ボーリング球くらいの穴がいくつか開いているのだが、あれは全て、俺が頭から突っ込んでいった結果である。
投げられるうちに、俺はなんとなくコツをつかんできた。技を仕掛ける直前に、南斗さんは必ず目を色っぽくうるませたり、顔を赤らめたりするのだ。
ただその表情は、どちらかというと恋する純情な乙女といった感じで、とてもあんな凶悪な攻撃を放つ気配は感じられない。だから油断してしまうのだ。
……あと、そんな南斗さんの恥ずかしげな表情に、つい見とれてしまうからでもあるのだが……。
それと気になるのは、時々技を出す直前に、南斗さんが意味の分からないことを絶叫することだ。
「いっちゃうぞコラーッ!!」
「ウィーーーッ!!」
「アポー」
「イナズマッ!」
「K!K!K!K!」
「ファイヤーッ!」
「気合いだーッ!」
何がなんだかさっぱり分からない。