恋はストロングスタイル


俺の頭上をも越える、高いジャンプだった。


馬鹿な。田山の体はもうボロボロなはず。なんでこんな動きが。
おれは混乱して動けなくなった。こちらに迫ってくる田山を呆然と見上げていた。
飛んできた田山は、両足で、おれの頭をがっちりと挟みこんだ。
分厚い筋肉に包まれた太股が、顔面を圧迫してくる。


なんだこれは?なんなんだ?


自分が今、何をされようとしているのかが分からない。息が苦しい。困惑と恐怖が襲ってくる。


そして、田山は、俺を投げた。
足で投げたのだ。肩車を逆にしたかのような形で、俺の肩の上に乗っていた田山は、その位置から、宙返りのような動きを見せた。そして、その勢いを利用して、足に挟んだ俺を投げ飛ばしたのだ。


足で背負い投げをされたかのような奇妙な感覚だった。


ともかく、俺は投げ飛ばされた。
とっさに受け身をとろうとしたのだが、足で投げられるなんて初めてだったため、どう受け身をとるのが正解か分からず




ごつっ



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