ささやく悪魔
歪んでいく青空
プロローグ
「ごめん、まった?」
はあ、と少し息を吐いた。
待ち合わせの時間から5分ほど遅刻してしまったから、電車のドアが開くと同時に飛び出してきたのだ。
彼はふんわりと優しく笑う。
「大丈夫。あんまり急ぐと危ねえし、今度から遅刻だと思っても走らなくていいよ」
「うん、ごめんね。ありがとう」
2人で顔を見合わせてカフェへと向かう。
手を繋いで、たわいもない話をしながら歩くこの時間が、わたしにはとてつもなく大切に思えた。
今日で、わたしたちは1年と3ヶ月。