受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
「喬君。君はパンドラの箱って知っているかい」
皆が食事をしながら話しあっている和室を確認しながら、望月一馬は言い出した。
主席の問に、俺はとりあえず頷いた。
「ギリシャ神話で、あらゆる禍いを封じ込めた箱だと聞きました」
「その箱を開けたために、不幸や諸悪が飛び出した。私はその箱を開けたのが、あの幹部候補生ではなかったのかと思っているんだよ」
「だったら一体パンドラの箱は?」
「この、有事対策頭脳集団ではなかったのかと思う」
そう言いながら、時々様子を伺う一馬。
自分の興した法人が、悪の巣窟になっていたのを知らずにいたことを主席は後悔しているのだろう。
俺はそう感じた。
「じゃあ眞樹は?」
だから、あえて質問してみた。
その言葉で俺の未来を決めよう。
そう思いながら……。
「私のために、その全てを取り込んでくれたのではないかと思っている。だから……」
主席は言葉を詰まらせた。
見ると、遠い目をしているようたった。
眞樹は本当に愛されていたと、俺の五感は響いた。
「だから」
望月一馬はやっと言った。
「だから今、希望だけが遺された。眞樹がその身で取り込んでくれたのだから。眞樹は敢えて私を裏切ったのかも知れないな」
――君のために、眞樹が全て取り除いてくれたんだよ――
主席はそう言っているように思えた。
「眞樹はやはり偉大ですね」
俺は取り乱しながら、訳の分からないことを口走っていた。
だって、そうだろう。
主席がいくら俺のことを救世主だと言っても……
主席は眞樹を信じて愛している。
眞樹が本当に救世主なら良かったと考えている。
俺にはそう思えてならなかった。
だから裏切ったと言ったのかも知れない。
皆が食事をしながら話しあっている和室を確認しながら、望月一馬は言い出した。
主席の問に、俺はとりあえず頷いた。
「ギリシャ神話で、あらゆる禍いを封じ込めた箱だと聞きました」
「その箱を開けたために、不幸や諸悪が飛び出した。私はその箱を開けたのが、あの幹部候補生ではなかったのかと思っているんだよ」
「だったら一体パンドラの箱は?」
「この、有事対策頭脳集団ではなかったのかと思う」
そう言いながら、時々様子を伺う一馬。
自分の興した法人が、悪の巣窟になっていたのを知らずにいたことを主席は後悔しているのだろう。
俺はそう感じた。
「じゃあ眞樹は?」
だから、あえて質問してみた。
その言葉で俺の未来を決めよう。
そう思いながら……。
「私のために、その全てを取り込んでくれたのではないかと思っている。だから……」
主席は言葉を詰まらせた。
見ると、遠い目をしているようたった。
眞樹は本当に愛されていたと、俺の五感は響いた。
「だから」
望月一馬はやっと言った。
「だから今、希望だけが遺された。眞樹がその身で取り込んでくれたのだから。眞樹は敢えて私を裏切ったのかも知れないな」
――君のために、眞樹が全て取り除いてくれたんだよ――
主席はそう言っているように思えた。
「眞樹はやはり偉大ですね」
俺は取り乱しながら、訳の分からないことを口走っていた。
だって、そうだろう。
主席がいくら俺のことを救世主だと言っても……
主席は眞樹を信じて愛している。
眞樹が本当に救世主なら良かったと考えている。
俺にはそう思えてならなかった。
だから裏切ったと言ったのかも知れない。