受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
 世界中の子供達の命をを有事から守るために、俺は全力を尽くそうと思っているんだ。


「フェアトレードのことは、松本君の受け売りだ。だから松本君に責任者になってほしいんだ。君がこれまで学んできた全てを、このプロジェクトに注いでほしいんだ。お願いするよ。松本君の思う通りにやってくれればいいから……」




 俺が何故彼に声を掛けたか……
それは、世の中のために何かを遣りたいが、チャンスに恵まれない不満を貯めていると知ったからだ。

有事対策頭脳集団は、元々優秀な人材の宝庫だったのだ。
でもまさか、松本君の友人だったとは……


「ありがとう。君達の決断がこの教団をきっとよみがえさせる」

俺はそう言い切った。


時代はガラケーと呼ばれているフューチャーフォンからスマートフォンに移行している。
でも……
だからこそ、今大量の旧式の携帯電話が破棄されている。

俺はこの電話の再利用を視野に入れて、下の携帯ショップを活用したいと思っている。




 「なあ眞樹、お前が言っていた通り主席は立派な人だな」

俺は眞樹の写真に向かって呟いた。
でも本当は眞樹に言った訳ではない。
二人に聞いてもらいたかったのだ。
俺の決意と、これから進んで行く道を。


「お前が継ぐはずだった教団を、俺は守ることしか出来ないかも知れない。でも見ていてほしいんだ。もう絶対にオカルト教団なんて言わせない。お前のような犠牲者を出したくないから」

誰でも良いわけじゃない。
この二人だから言えるのだ。

俺と眞樹の理解者の松本君と、今後この教団の幹部として力を発揮してもらいたい彼だから。


何故って、それは俺はこれから旅に出るから。
俺は自分を救世主だなんてこれっぽっちも思っていない。
でも、俺の力が……
微力な俺の力で少しだけでも平和に貢献出来ればいいと思っている。
だから、二人にこの教団を任せたいんだ。


そう……
俺はまことと出発する。
新婚旅行じゃない。
俺の新な夢への小さな第一歩なのだ。


 『人生の答えは自分の心の中に眠っている。それぞれの中に』
一馬の言葉を思い出す。


(でも俺は、その人生を任されようとしている。責任重大だな)

そう……
有事対策頭脳集団は俺の力量だけで決まってしまうのだ。


(もうオカルト教団なんて呼ばせない!!)
俺は二人を見つめながら改めて誓った。




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