受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
 でもどうして学校閉鎖なんだ?

高熱が出たのは三年生だけだというのに……

そうだ今はゲームだ!
十八禁ゲームが解禁されるのは、俺にはまだまだ先のことだから……

俺が今まで使っていた、携帯は今どうなっているのか心配だった。


でも、眞樹は高熱を出して入院だ。
どんなにあがいても俺の携帯電話が使えるはずがない。
そう思っていた。


それが大変な事態に発展してしまおうとは……

十八禁ダークファンタジーの名を借りた、恋愛シミュレーションゲーム・アンビエンスエフェクトはこうして始まった。




 画面上に現れた宇都宮まことは、ボーイッシュの超可愛い美少女? だった。


(えっマジヤバい。可愛い過ぎるよー! まさか、CGなんてことないよな)

俺は一瞬にして、宇都宮まことの虜になっていた。


(えっ! 嘘だろ!?)

思いもかけない事態に俺はたじろいだ。

俺の全身が緊張する。
携帯を操作している指先がじんわり熱くなり、何者かがその中で蠢くのが判る。

何故だか解らない。
正直な話、俺はまだ初恋も経験していなかった。

眞樹に告白したことは真実だったのだ。


(こんな場面でバーチャルラブかよ)

自分で自分に突っ込んだ。
友人の携帯で十八禁ゲームをやってしまった後悔を打ち消したくて……。




 こんな感じのゲームを夢中で遊んでいた友人。

それを冷め切った目で見ていた過去の自分。

でも今俺は確実に……
その友人と同じように、携帯の画面を食い入るように見つめているはずだ。


(何てこった!)

又突っ込んでみた。
俺は既に、後戻り出来ない程宇都宮まことに堕ちていた。
それは俺自身一番解っていた。


俺の立前は、鷲掴みされたハートを奪回する目的でこのゲームに挑むこと。

(恋なんて一生出来ないと思っていたのに)

俺の頭の中は、まだこの状況を把握していなかった。


(こんな恋あってたまるか!)

でも本当は俺にも解っていた。
この感覚が恋なのだと言うことが……




 身体の中のありとあらゆる感覚。

五感を超越した何か……
第六感とも言えない何かが俺を待ち構えている。


俺は既にこの段階でゲーム自体に堕ちていたのかもしれない。




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