受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
 『ねえー少し寒くなったから、教室に戻ろうか?』


『従う』
『此処に居る』
『逃げる』


『此処に居る』
を選択。

どう出て来るか反応を確かめたかった。


『あれっ? いいのーぅ。鍵掛けちゃうけどー』


「えっ!?」

俺は声を詰まらせた。

慌ててバックボタンで戻った。


『従う』
をクリック。


(あー助かった。危ないとこだった。こんな所に置いてきぼりは嫌だ!)


「えっ!?」
俺は一瞬自分に戻った。


(こんな所?)

俺は周りが気になった。

恐る恐る確認すると、ここは確かに屋上だった。


(そんな馬鹿な……そうだよ。俺は今の今までダイニングテーブルの上で携帯をいじってたはずだ。それがどうして学校のの屋上に居るんだ?)


訳が分からなくなり、その解決策として又画面を見つめてみた。


途端に……
高所恐怖症の俺がよみがえった。


俺は今日、幾度かの頭を抱えた。


又ズキズキ始めた。


心臓のバクバクやドキドキだけでも大変なのに……
俺は途方に暮れていた。


(あれっ? おかしいな? 何で寒くなるんだ? まだ朝のはずだ……これから温かくなっていくはずなのに……)




 その時いきなり画面が教室に変わった。


(えっー!? どうなっているんだ?)

でも俺は迷わず、自分の席に座っていた。


(何考えているんだ? 一体どうしたんだ俺?)

頭の中が、呆然とする。


画面が変わる度に脳が反応する。

そんな漠然とした曖昧な何かが俺の頭の中を支配するかの如く動き回る。


何が何だか解らない。
でも一つだけ解ること。

それは、宇都宮まことが傍に居ると嬉しいということ。

そして気付く。

何も掛かっていない携帯電話掛け。

黒板の脇の日直名。
望月眞樹。
若林喬。

昨日帰った時見たままの教室が其処にあった。


(あっ、だから臨場感? んな馬鹿な……





 何故だかゾクッとした。

得体の知れない第三者に見張られているような恐怖。

俺はそれでも冷静さを装った。


『どうしたの?こんなに緊張して』

宇都宮まことには、全て見抜かれているようだった。




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