受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
 自分の分身は、成美との子供以外考えられなかったのだ。


何度も諦めてようとした。

それでも駄目だった。


そして……
何故成美じゃなくてはならないのかに辿り着く。


博士は天才芸術家との間の子供がどうしても欲しかったのだった。


二人の子供なら、きっと天下を取れるような大物になるに違いないと思ったからだった。


野心溢れる自分らしい答えだった。


博士の妄想は次第に拡大して行く。

そしてついに、子供が産まれたら渡すと約束してオカルト教団の力を仰いだのだった。


その教団のトップこそ、望月一馬だったのだった。




 体外受精で超天才を作る。

この非常識な計画を、一馬は即答で快諾する。

将来の日本を託せる存在が欲しかったからだった。

勿論、優秀な人材確保は既になされていた。


でもその話には裏があった。

教団の幹部に医学博士佐伯真実がいたからだった。


『丁度体外受精卵による代理出産の実験をしたいと思っていたところだった』

真実はそう言っのからだった。

プラスアルファとして、一馬の考える有事の時に博士が協力してくれるかも知れないと思ったのたのだ。

一馬はそれに目を付けだのだった。
それはまさに渡りに船だったのだ。


試験管ベイビーと言われていたその頃。


体外受精卵は、その卵の持ち主が育てる。
それが当たり前だった。

でもアメリカでは、代理母の出産も認められ始めていた。


日本の非常識は……
世界の常識に変わりつつあったのだ。




 養護施設を隠れ蓑にしたオカルト教団。

そんな噂が出始めた頃。


何か打つ手はないかと模索していた一馬。


そんな折に、博士が申し出をしたのだった。


自然科学に於ける有名学者を取り込めると判断した一馬だった。




望月一馬・佐伯真実・氷室博士。

三人は、国立大学の同期生だった。
一馬は天文学。
真実は医学。
博士は自然科学。
三人はそれぞれの道を究めながら、己の信念の下に活動していたのだった。


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