受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
「だからその日が宇都宮まことちゃんの誕生日になったの。まことちゃんは辛うじて生きていたようで、すぐ超未熟児用の保育器に移された」
俺は……
その時気付いた。
母の声と違う、もう一人のすすり泣く声が聞こえていた。
宇都宮まことだった。
でも母は気付いていないようだった。
「佐伯さんは救った胎児を内緒で育てたの」
「えっ!? どうして? だってその頃にはもう養護施設はあったんじゃ……」
俺は……
ワザとそう言った。
宇都宮まことが聞いていることを承知で。
「確かに、それ以前に佐伯さんは養護施設を教団内に作ったわ。折角子供を授かったのに、中絶したり育児放棄する親が後をたたないから。でも、マスコミに叩かれて……」
母は声を詰まらせた。
「佐伯さんはただ……」
母は又黙った。そして続けた。
「私や、望月先輩のことなどがあったから……子供を引き受けようとしただけなのに……」
母の声は悲しく聞こえた。
それは……
未だに悲しみから逃れられない、母の孤独が言わせたことだった。
母も孤独だった。
そうに違いなかった。
望月一馬に言われた宇宙人説。
それは……
――俺達は孤児は地球人とは違う――
そう言われたのに等しかったのだ。
「それに、私の代理母のこともあったから」
俺はその言葉で、俺が産まれたいきさつを思い出していた。
養護施設を隠れ蓑にしたオカルト教団。
そんな噂が出始めた頃。
何か打つ手はないかと模索していたオカルト教団。
そんな折に、父が申し出をしたのが代理母による超天才児構想だったのだ。
「まことちゃんを預けておけば、此処の設備が使えると思ったらしいの。それにもし施設に連れて帰れば、交通事故も表面化するでしょう?」
「マスコミの格好の標的となるか?」
母は頷いたのか、俺の背中を軽く撫でた。
勿論それだけでは無いこと位は俺にだって解る。
宇都宮まことを助けたかったんだ。
俺は医学博士だと言う、佐伯真実の良心を信じようと思った。
「佐伯さんは自分の名前をその超未熟児に付けたの。勿論、別の呼び名にして。佐伯さんはね、真実と書いてまさみと言うの。でもこの字は一字一字がまこととも呼べる。真も実も。だから宇都宮まことになったの」
俺は……
その時気付いた。
母の声と違う、もう一人のすすり泣く声が聞こえていた。
宇都宮まことだった。
でも母は気付いていないようだった。
「佐伯さんは救った胎児を内緒で育てたの」
「えっ!? どうして? だってその頃にはもう養護施設はあったんじゃ……」
俺は……
ワザとそう言った。
宇都宮まことが聞いていることを承知で。
「確かに、それ以前に佐伯さんは養護施設を教団内に作ったわ。折角子供を授かったのに、中絶したり育児放棄する親が後をたたないから。でも、マスコミに叩かれて……」
母は声を詰まらせた。
「佐伯さんはただ……」
母は又黙った。そして続けた。
「私や、望月先輩のことなどがあったから……子供を引き受けようとしただけなのに……」
母の声は悲しく聞こえた。
それは……
未だに悲しみから逃れられない、母の孤独が言わせたことだった。
母も孤独だった。
そうに違いなかった。
望月一馬に言われた宇宙人説。
それは……
――俺達は孤児は地球人とは違う――
そう言われたのに等しかったのだ。
「それに、私の代理母のこともあったから」
俺はその言葉で、俺が産まれたいきさつを思い出していた。
養護施設を隠れ蓑にしたオカルト教団。
そんな噂が出始めた頃。
何か打つ手はないかと模索していたオカルト教団。
そんな折に、父が申し出をしたのが代理母による超天才児構想だったのだ。
「まことちゃんを預けておけば、此処の設備が使えると思ったらしいの。それにもし施設に連れて帰れば、交通事故も表面化するでしょう?」
「マスコミの格好の標的となるか?」
母は頷いたのか、俺の背中を軽く撫でた。
勿論それだけでは無いこと位は俺にだって解る。
宇都宮まことを助けたかったんだ。
俺は医学博士だと言う、佐伯真実の良心を信じようと思った。
「佐伯さんは自分の名前をその超未熟児に付けたの。勿論、別の呼び名にして。佐伯さんはね、真実と書いてまさみと言うの。でもこの字は一字一字がまこととも呼べる。真も実も。だから宇都宮まことになったの」