受胎告知Fake of fate【アンビエンス エフェクト第二のマリア】
 (宇都宮まことは真実のまことだったのか? やはり俺より年上か? そりゃそうだ。幾らオカルト教団の作ったゲームでも、十八禁に十八歳以下の子供は使えないだろう)


でも俺はそんなことより、宇都宮まことが心配だった。

耳を澄ますと、微かにすすり泣く声が聞こえる。


俺は……
その泣き声が自分であるかのように細工した。


俺も……
すすり泣いていた……




 「低体重未熟児として、勿論書類は提出したらしいわ。でも誰も気付かなかった」


「どうして?」


「私が代理母となった時使用した産婦人科は、その頃余り流行っていなかった」


「つまり、潰れかけていた訳か?」


「真実さんが立て直した訳ね。だから其処が使えた訳よ」


「俺が産まれた病院で、彼女は育ったのか?」


母は頷きながら、又俺の体位を変えた。

俺はそっと、宇都宮まことのベッドに目をやった。

宇都宮まことは、又眠った振りをしていた。


(安心したのかな?)

俺はそう思っていた。


「その頃、超未熟児と呼ばれていた子供達は超濃度の酸素によって失明する子が多かったの。真実さんは光を失わせないように一所懸命にまことちゃんを育てていたの」


「でもどうして?」


「彼女が飛び込んだのは、佐伯さんの車だったらしいの。運転していたのは違う人だったけどね。責任を感じていたらしいわ。だって彼医学博士だったから」


(そうか、だから知識が豊富で……と、言うより医学書でも読み漁ったのかな?)

俺は佐伯真実と言う人物に興味がわいていた。




 「あの子は十八歳。学年は喬より一つ上……、でも学校には行ってないの。教団内にあるフリースクールで彼女は勉強したの」


(フリースクール……話は聞いた事はある。イジメなどで不登校になった生徒が通う学校だ。聞いた相手は……)


そうだ眞樹だ。
確か眞樹の父親は、塾と一緒にフリースクールも経営していると言っていた。




 「あの子は病気なの。心のね」
そう母は言った。


「超未熟児で産まれた子供には保育器がお母さんのお腹なのよ。だから、同じ日に生まれた子供達より成長が遅いの」


それはそうだと思った。

低体重未熟児が大きく育つためには、それなりの環境と時間はかかるはずだから。




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