ホントのお前が好きなんだッ!
入学
私と私の幼なじみ【馨side】
「香織〜!早く起きなさい!誠君が来ちゃうわよ!」
お母さんがリビングから顔を出し、大声で私を呼ぶ。
…うるさいなぁ〜…。
お母さんの声は大きすぎるだ。
隣に住んでいる内田さん家のお母さんはこう言っていた。
『日向さんの声で子供たちは起きてくれるから、私が起こす必要なくなったのよ。ありがたいわ〜。』
…感謝されたのはいいけど、迷惑でしょ…。
隣の家まで聞こえるって、どれだけ大きい声出してるのよ。
そんな声で起こされれば、嫌でも目が覚めてしまう。
仕方がないから、ベッドから出て、今日から3年間着ることになる制服を着ることにした。
「とうとう高校生か…。」
私、日向馨(ひなたかおり)。
今日から高校生!
着なれない制服を着て鏡の前に立つ。
「まぁ…やっぱ制服は可愛いな」
紺のブレザーに、チェックのスカート。シンプルではあるけれど、私は可愛いと思う。
髪の毛をシュシュでくくったら、もっとよくなるだろう。
でも…私は…___
「私は…今日から変わるんだ…。」
___地味子になるんだ…。
中学ではイケてる部類に入っていた私だが、今日からの高校生活では…地味子を演じるんだ。
学校では出来るだけ人と会話しないで、オシャレもしないで、髪も整えないで、制服も着崩さない。
…そう決めた。
< 1 / 16 >