ほんとの笑顔が見たかったんだ
気持ち、届け
「あ、アイス切れてる…」

8月30日の午後3時。

宿題も終わり夏休み終了までのんびりしようとテレビを見ていて、大好きなアイスを食べようと冷凍室を開けるとアイスは切れていた。

「ママ、アイス買って来るけど、なんか買ってきて欲しいものあるー?」

「そうねぇ、牛乳買って来てもらおうかな!」

「うん!わかった!」

「ありがとう。助かるわ!」

台所でママとそんなやり取りをし、家を出た。

外に出るとまだまだ暑くて青い空が広がっている。

今年も暑さが長引きそうだね。

ミンミンと鳴くセミの声を聞きながら、玄関を出たと同時に意識的にソラの家の方を見た。

…龍星君、今日は何してるんだろう。

自然に、思い浮かぶのはやっぱり彼の事。

遊園地に行ったあの日から、少しだけだけど、トークモードで何度かやり取りしている。

ほんとに、他愛もない事だけど、そんな些細な事が嬉しくて。

「気持ち、伝えなきゃね…」

1人でつぶやいた。

もう、夏休みが終わるんだ。

告白とかした事ないけど、夏休みが終わったらなかなか会えないだろうし…伝えるなら夏休み中…だよね…。

緊張するなぁ…。

1人で色々考えながら歩いていると…。

「じゅーなちゃん!」

後ろから声が。

もう誰かなんてすぐに分かった。

声を聞いただけでキュンとする。

ちょっと緊張しながら振り向くと、

「コンビニ行くのー?」

龍星君がニッと笑って立っていた。
< 113 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop