ほんとの笑顔が見たかったんだ
「龍星君?」

急に立ち止まる彼の顔を見ながらたずねた。

龍星君は切ない表情のまま、うつむいた。

「龍星君、どうしたの?」

再度たずねると、龍星君は顔を上げた。

そして…

「じゅなちゃん…。ほんとに色々ありがとう。もう、じゅなちゃんとソラには感謝しきれないよ」

そう言って、笑った。

どこか切なそうに、笑って言ってくれた。

「ほんとに、2人に出会えてほんとに良かったよ。ありがとうね」

再びお礼を言う彼。

全神経が彼に向かっているような感覚になって、もうセミの声も耳に入ってこないくらいだ。

明日で夏休みが終わるのに、今彼が言ってくれた言葉の真意は未だに分かっていない。

こんな事を言われると、嬉しい反面、なんかもう会えなくなるんじゃないかと嫌な予感さえしてしまう。

そんなの嫌だよ。

私、龍星君の辛い事も全部知りたいし、苦しんでいたら龍星君の支えになりたいよ。

私の気持ちを伝えて、もし彼が良いと言ってくれるんだったら…隣にいて支えになりたいよ。

「私も、ほんとに龍星君に出会えて良かったよ!ほんとそう思う!でね…龍星君…」

心臓がドキドキする。

キュッと鳴るような感覚だ。

少しためらったけど、私は思い切って言う事にした。

「明日、帰っちゃうの?」

「うん…寂しいけどね。」

「何時に帰るの?」

「夕方…6時頃かな…?」

「ちょっと…伝えたい事があるから…5時位に公園に来て欲しいんだ」

「うん。分かった」

もう私はちゃんと心に決めた。

明日、想いを伝えようと。

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