ほんとの笑顔が見たかったんだ
しばらく沈黙が続いた。

背中にタラっと汗が流れたのが分かる。

ソラの顔から目を反らし、右へ左へと目が泳ぐ。

「動揺しすぎな」

顔はまだ赤いままだけど、オロオロする私が面白かったのか、思わずソラは笑った。

「だって、だってさ!だってソラが、急にさ!」

もう私こそ言葉にならない!

ソラが…私の事が好き…?!

信じられないよ!

“焦りすぎだろ”ってボソっと言って、ソラはまた笑うと、今度は遠くを見るような表情で話し出した。

「ずっとずっと、じゅなの事が好きだった。ほんと、マジで。修了式の日に、ネックレスあげたの覚えてるか?あれさ、授業で作ったのはほんとだけど、使わないからお前にあげるとか言ったのは嘘。ほんとはじゅなに渡すために作った。」

穏やかに話すソラの話を、私は黙って聞くことしか出来ないでいた。

黙り続ける私の隣で、ソラは続ける。

「じゅながさ、龍星の事が好きだって知った時、結構ショックだった。じゅなの気持ちを知ってしまった時、もう俺の気持ちとか叶わないって確信したけど、どうしても言っておきたかったんだ。ほんとに、俺、じゅなの事好きだから」

私の気持ちを知っておきながら、ソラは私の事、こんなに好きでいてくれたんだ。

今から思い出すと、私の言動とか、絶対ソラにとったら辛かったよね…。

なのに、ずっとソラは私の事…。

「ありがと…」

色んな感情が入り交じって、思わず私は泣いてしまった。
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