ほんとの笑顔が見たかったんだ
無意識に震える手で玄関のドアを握る。

本当なら逃げ出したい。

でも俺は、ここにいないといけないんだ。

ここにいちゃ駄目だけど、ここにいないといけないんだ。

矛盾している…。

でも矛盾ではなくて、悲しいけど、はっきり言うと、俺の帰るところはどこにもないんだ。

ドアに鍵をさして、静かにドアを開けた。



普通の洋風の玄関。

普通の家…形は。

靴を脱いで、無言で二階にある自分の部屋に向かった。
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