ほんとの笑顔が見たかったんだ
階段を5段ほど登った時だ。
「なんでお前いんの?」
静かに低いその声に体がびくっと反応する。
振り返る事が怖くて、ただ立ち尽くす。
すると、再度、
「聞こえねぇの?なんでお前いんの?」
少し大きい声で脅すように言う。
なんで…って聞かれても、なんて答えたらいいのか分からなくて…。
だけど、2回もそう聞かれると、言葉が見つからなくても振り返ってしまった。
「どっかで死んでると思ったのに、なんでいんの?」
お兄ちゃんだ…。
最大級に俺の事を敵視するように睨みつけるお兄ちゃんは、すでにもう拳を握り締めている。
また…殴られるのか。
「何つっ立ってんだよ。降りろや」
それに逆らえない俺は、恐る恐る階段を降りた。
階段を降りると、お兄ちゃんは俺に近づき、早速一発俺の頬を思い切り殴った。
「っつ………!」
言葉にならない痛みで俺は顔を歪ませる。
「ほんと、お前見てるだけで吐きそうになる」
同じような事を今まで何度も言われた。
けど慣れるなんて事はなく、言われる度に心が傷つく。
「なぁ…なんで帰って来たんだよ!」
そうしてまた思いっきり殴ってきた。
痛みで俺はその場にしゃがんで、うずくまる。
「なんか言えよ!!」
するとお兄ちゃんはうずくまっている俺の髪を掴み、無理矢理顔を上げさせる。
「痛い…」
「お前、こんなん痛いわけねぇだろうが!」
俺の頭を壁に思い切りぶつけ、それからも何度も本気で殴ってきた。
口の中は鉄の味か充満して、鼻からも血が出て…。
顔を殴るだけ殴ると次は腹部に思い切り拳を叩き込む。
「お前さえいなければ…!お前さえいなければ…!」
お兄ちゃんの怒る声が段々遠くなる。
…分かってる…俺さえいなきゃ良かったんだよ…分かってるよ…
ソラ、楓さん…拓海さん…それに…じゅなちゃん…大切な、手放したくない人に出会った。
わがままだし勝手な事だけど…生きたいって思ってしまったよ…
でもやっぱ俺は、幸せになっちゃダメだ…ダメなんだ。
意識がボヤっとしながらも、そんな事を思った。
だけど段々意識が遠くなっていってそして…俺はスーッと目を閉じた。
「なんでお前いんの?」
静かに低いその声に体がびくっと反応する。
振り返る事が怖くて、ただ立ち尽くす。
すると、再度、
「聞こえねぇの?なんでお前いんの?」
少し大きい声で脅すように言う。
なんで…って聞かれても、なんて答えたらいいのか分からなくて…。
だけど、2回もそう聞かれると、言葉が見つからなくても振り返ってしまった。
「どっかで死んでると思ったのに、なんでいんの?」
お兄ちゃんだ…。
最大級に俺の事を敵視するように睨みつけるお兄ちゃんは、すでにもう拳を握り締めている。
また…殴られるのか。
「何つっ立ってんだよ。降りろや」
それに逆らえない俺は、恐る恐る階段を降りた。
階段を降りると、お兄ちゃんは俺に近づき、早速一発俺の頬を思い切り殴った。
「っつ………!」
言葉にならない痛みで俺は顔を歪ませる。
「ほんと、お前見てるだけで吐きそうになる」
同じような事を今まで何度も言われた。
けど慣れるなんて事はなく、言われる度に心が傷つく。
「なぁ…なんで帰って来たんだよ!」
そうしてまた思いっきり殴ってきた。
痛みで俺はその場にしゃがんで、うずくまる。
「なんか言えよ!!」
するとお兄ちゃんはうずくまっている俺の髪を掴み、無理矢理顔を上げさせる。
「痛い…」
「お前、こんなん痛いわけねぇだろうが!」
俺の頭を壁に思い切りぶつけ、それからも何度も本気で殴ってきた。
口の中は鉄の味か充満して、鼻からも血が出て…。
顔を殴るだけ殴ると次は腹部に思い切り拳を叩き込む。
「お前さえいなければ…!お前さえいなければ…!」
お兄ちゃんの怒る声が段々遠くなる。
…分かってる…俺さえいなきゃ良かったんだよ…分かってるよ…
ソラ、楓さん…拓海さん…それに…じゅなちゃん…大切な、手放したくない人に出会った。
わがままだし勝手な事だけど…生きたいって思ってしまったよ…
でもやっぱ俺は、幸せになっちゃダメだ…ダメなんだ。
意識がボヤっとしながらも、そんな事を思った。
だけど段々意識が遠くなっていってそして…俺はスーッと目を閉じた。