ほんとの笑顔が見たかったんだ
「“りゅうせい”ってかっこいい名前だね!」

10歳の頃、初めてハルに会った時、ハルは緊張して固まっている俺にそう笑いかけてくれた。

俺はハルと出会うまで、お母さんと二人で暮らしていた。

俺は父親を知らない。

俺はお母さんと、お母さんが昔付き合っていた人との間に出来た子供だ。

お母さんは結婚せず、未婚の母だった。

幼かったからよく分からなかったけど、生活は多分厳しかったんじゃないかな。

でも、俺はお母さんと二人の生活が幸せだったんだ。

お母さんと2人で暮らしていたけど、10歳のある日、俺には突然家族が増えたんだ。

お父さん、そして20歳の兄、そして一つ年上の姉、ハル。
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