ほんとの笑顔が見たかったんだ
他愛も無い話をしながら、歩いていた俺達。

だけど友達とはこの先から別々の道になる。

「龍星、家まで送るよ!雨すごいし!」

「マジで?」

「すぐそこだろ?良いよ!」

「ありがとう!」

友達の優しい気遣いで、友達は俺を送ってくれる事になった。


激しく降り続ける雨。

傘はさしているけど結局地面に叩きつけられる雨が弾けて足が濡れる位だ。

雨の音がうるさくて、俺は友達ともあまり話さなくなって、ただ俺の家だけを目指して歩いていた。

「ほんとありがとう!助かったよ!」

「いいよいいよ!じゃあな!」

「うん!また明日!」

友達に礼を言い、玄関のドアを開けた。

そして靴を脱ぎ、濡れた靴下も脱ぐなり、俺はまっすぐに、ハルの部屋に向かった。

…ハル、大丈夫かな…。

心配しながら、部屋をノックした。

「ハル?調子どう?」

そう言って、外から確認する。

だけど、返事がない。

「ハル?入るよ?」

部屋のドアを回し、ドアを開けた。

だけど、部屋にハルの姿はなかった…。

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