ほんとの笑顔が見たかったんだ
久しぶりに教室に入った。

と、同時に…他のクラスメイト達がギョッとした感じで俺を見た。

だけどそれを知りながら、俺はあえて目をそむけた。

教室の扉寄りの1番端の前から2番目の席、。

そこが俺の席。

席に着くなり、俺は机に顔を伏せて目を閉じた。

…今日も家に帰ったら殴られんのかな。

それも不安だけど…今日はソラと会うのもちょっと気まずいよな…。

ソラはじゅなちゃんに思いを伝えたのにじゅなちゃんはソラじゃなくて…俺の事…好きって言ってくれたんだ。

嬉しかったけど半面凄く複雑だな…。

しかも、ソラの好きだった子を、俺は振ってしまった。

でも決してじゅなちゃんが嫌いとかなんかじゃない。

ほんとに、ソラと結ばれると思ってたし、俺自身、そうなる事を願ってたからだ。

…色々考えると、ため息が出た。

しばらく考え込んでると、


「龍星?何、寝てんの?」


そう話しかけられた。

相手はもちろん、ソラだ。

「寝てるー」

気まずいからなんとなく顔を上げたくなくて顔を伏せたまま答えた。

「起きてんじゃん」

ソラは軽く笑ったように言うと、俺の後ろの席に座った。

この席は一学期の始めからずっと同じ。
< 144 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop