ほんとの笑顔が見たかったんだ
しばらくお互い喋んなくて、黙っていたけれど、そんな沈黙を先に破ったのはソラだった。

「龍星…あのさー…昨日の事でお前、俺に気とか使うんじゃねぇよ?」

「え?」

「俺の事は気にすんな。俺さ、実は前からじゅながお前の事が好きって知ってたんだわ。でもそれを知ってた上で俺はじゅなに気持ち伝えたわけだし、後悔はしてないから。後、じゅなに対してお前が答えた事も…気にしなくて良い。俺がこんなん言うのも変だけど、お前なりの理由があったんだろ?だから…色々気にすんな」

ほんとはソラ…絶対キツかったと思う。

だってさ、自分が好きになった子がまさか自分の友達に告白したらさ…絶対傷付くよな。

なのに、ソラは辛いのは自分なのに、俺にそんな風に言ってくれる。

「うん、わかった。ありがとう」

俺は机に伏せていた顔を上げて、前を向いたままそう返した。
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