ほんとの笑顔が見たかったんだ
ソラの家のリビング。

テーブルを囲うように、三人掛けのソファと小さめのソファが置かれている。

小さめのソファに楓さんが座り、俺とソラは三人掛けのソファに座った。

丁度良い温度に設定されたエアコンの風に少しホッとし、一呼吸置いて話す事にした。

「俺ね…2年前…中2の時にさ…」

そう言うと、言葉を詰まらせた。

ハルを亡くしたのは事実。

しかも、俺のせいで。

その事実は分かっているんだけど、改めて言葉にしようとすると胸が痛くなる。

無意識に膝の上に置いてる拳をぎゅっと握った。

「龍星…。ゆっくりで良いから。ゆっくりで良いし、龍星が話せる事で良いから」

俺の隣でそう声をかけてくれたソラの言葉でまた泣きそうになる。

ほんとに俺、相当ガキみたい。

「ありがとう」

小さい声でそう言うと、俺は少しずつ、頭の中で言葉をまとめながら話し出した。


最初はお母さんと2人で暮らしていた事。

10歳の時にハルと出会った事。

お兄ちゃんの事。

中2の時にハルを亡くした事。

俺のせいだった事も隠さずに話した。

そして…ハルが亡くなってから…今日までの家族関係の事。

「俺が…俺のせいでハルが死んだんだ。だから俺はもう幸せになっちゃいけないってずっと思ってたし、お父さんもお母さんも…もう家族として俺の事見てないし、お兄ちゃんにもずっと存在否定されてきた…だから自分でも、“俺なんかいない方がいい”って思ってた……でもさ…俺ね、ソラ達に出会って、一緒に過ごしていくうちに…生きたいって思っちゃったんだよね………」

頑張って無理して笑ってみた。

でも無理だった…。

男なのにほんと情けないけど、もう涙は抑えきれなかった。

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