ほんとの笑顔が見たかったんだ
オカンが出かけてから、一時間位が経った。
窓の外を見るとさっきより空が薄暗くなっている。
もう、いつ雨が降ってきてもおかしくない位だ。
漫画もゲームも飽きた。
テレビも見る気がしなくて、自分の部屋のベッドに横になっていた。
そうしていると、段々眠くなってきた。
目を閉じ、眠ろうとしていた時だった。
携帯電話の着信音が鳴った。
画面には"市坂龍星"と表示されている。
「ん?」
いつも通りの感じで、電話に出た。
「ソラ…電話出んの早いな!」
電話のむこうで、龍星は笑った。
俺はその龍星の声に違和感を感じた。
直感…だけど、おかしい。
「うるせぇ。たまたまだ」
とりあえず、あえてそう言ってみる。
「どうせ暇なんだろ?」
「悪かったな暇で」
「暇なら宿題しろや!」
「それは嫌。つかお前も宿題やってねぇだろ?」
「バレた?」
「アホか…」
「てか暇なら素直に"龍星がいないと暇すぎて嫌だよー"って言えや!」
龍星は、そう言ってケラケラ笑った。
多分だけど、俺の直感は正しいはず。
龍星と出会って約4ヶ月。
まだまだ知らない事も多いけど、この4ヶ月の間に分かった事がある。
龍星は、辛い時こそ明るく振る舞うという事が。