ほんとの笑顔が見たかったんだ
またね。バイバイ
夏休みが終わってまだ…三日か…。

夜になると少しは涼しくなるかと思いきや、まだ8月が終わって間もないからかまだ暑い。

窓を開け、風を送りながら更に扇風機をつけた。

そしてベッドに寝転んだ。

ぼんやりと考えるのは龍星君の事。

失恋の傷はなかなか癒えやしない。

と言うか、この傷は治る日が来るのかって位だよ…。

“はぁ”

と大きくため息をこぼした。

「龍星君………元気にしてるのかなぁ…」

そう独り言をもらした時だった。

枕元に適当に置かれた携帯電話の着信音が鳴り出した。

寝たまんまの体勢で手探りで携帯電話を取ると、表示されてるのは“ソラ”の文字。

最後にソラと会ったのは………あの日だ。

龍星君に振られた日でもあり、ソラから告白された…夏休み最後の日。

携帯電話に表示されるソラの名前を見ると急にドキドキしてきた。

…やばい…前までだったらソラに対して緊張した事なんてなかったのに…。

鳴り続ける着信音を聞きながら出るか出ないか散々迷ったけど、出る事にした。

「も…もしもし…?」

ベッドに横になりながら、無意味に体を丸めて小さい声で出た。

「じゅな、今、家?」

ソラはそんな私とは対照的に至って普通みたい。

「う、うん。家にいるよ。どうしたの?」

なんか私一人で緊張してしまってるのが恥ずかしいよ…。

「何、なんかテンパってんの?」

「べ、別にー?」

「ふーん。あっそ」

「全然普通だしー」

「まぁなんでも良いけどさ…今、大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ。どうしたの?」

「あのさ…龍星の事なんだけどさ……」

このタイミングで龍星君の話題。

失恋したあの時の心の痛みを思い出す。

「龍星君…」

ボソっと言うと、ソラは

「あ…そっか…。龍星に…振られたんだよな…」

普通にそう言った。

「ハッキリ言わないでよ…」

「バーカ。俺だって振られたんですけど?」

「そ、それは……」

完全に私のミスだ。

そうじゃん。

振られたのはお互い様だった…。

ソラの言った通り、テンパってる。

電話越しにそんな私の姿を察したのかソラは笑った。

「なんか複雑だなー。俺ら」

明るく笑うと、

“で、本題な”

と、話題を戻し、龍星君の事を語り始めた。
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